2007年10月 : 異常な日々の異常な雑記 QLOOKアクセス解析 アクセスランキング

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『マイナス・ゼロ』(広瀬正)

[ 2007/10/31 ]

SFマガジンのオールタイムベストSF日本長編部門でかなりの上位に入っていたのだが、著者が30年以上前に亡くなっていることもあって、長らく絶版になっている。
「報いられることなき期間があまりにも長かった作家であり、それに比して報いられることがあまりに短期間だった作家」(筒井康隆)という評があるように、実力や実績に比してマイナーすぎる作家。
長いこと探していたのだが、どこに行ってもないし、ネットオークションでも高値がついていたので、図書館で借りてきて読んだ。

タイムトラベルを扱った作品。
戦前と戦後を隔てる断絶を独特のユーモアに彩られた筆致で鮮やかに描き出している。
コンセプト的にはハインライン『夏への扉』にも通じるものがあるけれども、こちらは舞台が日本であり、ノスタルジアの描写が実に生き生きとしていてたまらない。
昭和初期の人々を1960年代の人間の視点で瑞々しく描いている。
思弁的なものはここでは見られないが、タイムパラドックスの論理構成や小説的構成は実に素晴らしく、最初から最後までノンストップで読むことが出来た。
タイムトラベルにノスタルジアは不可欠だが、中でもその描写においてこの作品を超える叙情と構成のバランスを兼ね備えた作品はないかもしれない。
ぜひとも復刊してほしいものだ。


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[ 2007/10/31 ] SF・ライトノベル | TB(0) | CM(-)

スタニスワフ・レム『虚数』(スタニスワフ・レム)

[ 2007/10/29 ]

『惑星ソラリス』で知られるポーランドのSF作家スタニスワフ・レムの異形の短編集。
架空の書物の序文を集めた作品だが、一般的な意味での物語性は破却されている。
ボルヘスが『伝奇集』で架空の本の引用、という手法を提示したことがあったが、それの同種の試みではある。

前半は死の研究書、文字を書くバクテリアについての研究書、コンピュータによる文学書、wikipediaを先取りしたような百科事典などの序文だけが収録されている。
序文だけを提示することにより実際には存在しない書物のエッセンスだけを読むことができ、様々な想像を広げることができる。
非常に贅沢にアイデアを消費している。

これらの序文達も十分に興味深い作品群ではあったのだが、本書を傑作たらしめているのはやはり後半に収録されている『ゴーレムXIV」の存在だろう。
内容はコンピュータによる人間への講義録の抜粋であるが、そこで語られる主題は「知性」そのもの、身体性に拘束されない「知性」のありかた、「生命進化」の解釈、「知性」の未来などである。
思弁小説の本領発揮とばかりに哲学、物理学、生物学、宗教、論理学などの深遠を広く視野にいれた論理が明快に語られている。
本書のオリジナルの出版は60年代だが、現在の水準で読んでもここで語られている認識は古びていないし、むしろこの認識に到達できていない事象も多く存在する。
『知性』そのものを主題とした作品には小松左京やアーサー・C・クラークなどに傑作があるのだが、この作品は主題に絞った記述で、より問題を明確に浮かび上がらせることに成功している。

論旨自体は明快でも、前提となる教養の蓄積がないと理解しづらい内容かもしれないが、なぜこの作品がオールタイムベストSFなどのSFファンによる人気投票などに顔を出さないか不思議だ。
知的エンターテインメント、という意味で、本書の試みに迫る認識を提示できた作品などいったいどれほどあるというのか。
SF史に特筆大書で残るべき傑作。


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[ 2007/10/29 ] SF・ライトノベル | TB(1) | CM(-)

『ギルガメシュ叙事詩』(月本昭男 訳)

[ 2007/10/28 ]

紀元前2600年頃に成立した物語で、実在したとされるウルク(メソポタミア文明)の王ギルガメシュの英雄譚を描いた叙事詩。
本書ではその叙事詩を様々な断片のみが残る写本からそれぞれ翻訳し、かつ『ギルガメシュ叙事詩』発掘の経緯、受容の歴史、他文献との比較研究を綴っている。

世界最古の物語、とされており、粘土板に刻まれたシュメール語の楔形文字の文章の連なりには完本は存在せず、現在の我々はその断片のみしか知ることが出来ない。
アッシリア地方の広範な地域から多数の言語による写本が発掘されること、聖書の「大洪水」と共通する記述が見られることから、古代の西アジア地域で広く親しまれた物語なのだろうが、現在との連続性は長く途絶えていて、この作品が連続した歴史の上に再登場できたのは1872年になってからだった。

友情と死と成長の物語であり、4600年前の作品ながら、文学的に主要なテーマが力強く描かれている。
ギルガメシュの名はテレ東で昔やっていたお色気番組『ギルガメッシュないと』、ファイナルファンタジーシリーズやFateシリーズの敵キャラ「ギルガメッシュ」として、日本人にも親しみのある響きの名前になっている。
ヘラクレスやロキや神農やおろちなんかよりも古い名前であるから、その固有名詞の権威はある意味で最大級なんだろう。

実際、主要な文学的テーマが提示されていようとなんだろうと、今の感覚で本文だけ読んだところでそりゃたいして面白くないんだけど、そういう歴史的、考古学的経緯とのリンクによって楽しみ方が変わってくる。
4600年前にこのような視点でもって人間と世界を描いた人々がいた、という事実に幻惑された。


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[ 2007/10/28 ] 古典・純文学 | TB(0) | CM(-)
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