はてなのホットエントリーに我も我もとオススメSFの記事があがっていました。
SFったってジャンルはいろいろで人の好みもそれぞれで、という話になるだろうし、今さら私が独自のオススメを列挙してもしょうがないので、それなりに信憑性のあるリストを。
まあ、ここははてなダイアリーでもはてなブログでもないので、ホットエントリ入りできるかわかりませんが、自分用のメモにもなるんで。
一連のエントリーの起点
読んでないとヤバイ(?)ってレベルの名作SF小説10選 デマこいてんじゃねえ!
一連のエントリーのまとめ記事
SF小説おすすめリストたちのまとめ 基本ライトノベル
SFマガジンでは100号ごとに「オールタイム・ベストSF」という企画が行われます。
最新のランキングは2006年4月号、600号記念時に掲載されたものです。
これはプロの作家・評論家98名、読者103名の投票によって決められたランキングです。
(ちなみに男性180名、女性21名だそうで。……今さらながら女にもてたかったらSFなんて読むなという数字ですね)
1人5作品まで投票。1位10点、2位9点、3位8点、4位7点、5位6点です。
SFで食っている人間とSFマガジンを定期購読するガチのSF読みが選んだランキングです。
本誌では国内海外の長編短編と4つの部門別に50位まで掲載されていますが、ここではそれぞれ20位まで。
タイトルの末についている数字は獲得ポイント。
国内長編部門19位 田中芳樹『銀河英雄伝説』68
19位 筒井康隆『虚航船団』68
19位 北野勇作『かめくん』68
18位 飛浩隆『グラン・ヴァカンス 廃園の天使I』69
17位 野尻抱介『太陽の簒奪者』71
16位 古川日出男『アラビアの夜の種族』73
15位 冲方丁『マルドゥック・スクランブル』84
14位 光瀬龍『たそがれに還る』90
13位 夢枕獏『上弦の月を食べる獅子』91
12位 半村良『石の血脈』94
11位 大原まり子『ハイブリッド・チャイルド』96
10位 小松左京『日本沈没』103

9位 神林長平『戦闘妖精・雪風<改>』106
8位 半村良『産霊山秘録』129
7位 小松左京『復活の日』143
6位 山田正紀『神狩り』155
5位 山田正紀『宝石泥棒』169
4位 広瀬正『マイナス・ゼロ』197
3位 半村良『妖星伝』220
2位 小松左京『果しなき流れの果に』457
1位 光瀬龍『百億の昼と千億の夜』471
国内短編部門20位 大原まり子『1人で歩いていった猫』69
20位 梶尾真治『時尼に関する覚え書』69
19位 管浩江『そばかすのフィギュア』81
17位 新井素子『グリーン・レクイエム』82
17位 山尾悠子『遠近法』82
16位 小松左京『神への長い道』99
15位 星新一『ボッコちゃん』102
14位 小林泰三『酔歩する男』103
13位 堀晃『梅田地下オデッセイ』106
12位 小川一水『老ヴォールの惑星』107
11位 小林泰三『海を見る人』113
10位 中井紀夫『山の上の交響楽』117
9位 梶尾真治『美亜へ贈る真珠』120
8位 野尻抱介『太陽の簒奪者』123
7位 神林長平『言葉使い師』127
6位 梶尾真治『おもいでエマノン』128
5位 山尾悠子『夢の棲む街』132
4位 堀晃『太陽風交点』138
3位 小松左京『ゴルディアスの結び目』156
2位 飛浩隆『象られた力』188
1位 星新一『おーいでてこーい』300
ちなみにこの前回にあたる98年500号記念時に行われた投票では長編部門の1位は『果しなき流れの果に』、短編部門の1位は『ゴルディアスの結び目』で、どちらも小松左京の作品です。
小松左京は作家部門でも98年時、06年時ともに1位を獲得しています。
また98年時には『星界の紋章』が長編部門で5位に入っていたのですが、06年時には22位にまで後退しています。
他、ライトノベルでは25位に秋山瑞人『猫の地球儀』、33位に栗本薫『グイン・サーガ』、46位に小野不由美『十二国記』がランクインしています。
個人的には山本弘『神は沈黙せず』が41位と思いの外、評価が低いのが残念。
海外長編部門20位 サミュエル・R・ディレイニー『エンパイア・スター』81
19位 グレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』82
18位 グレッグ・イーガン『順列都市』85
17位 A・E・ヴァン・ヴォクト『宇宙戦ビーグル号』93
16位 ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』100
15位 ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』104
14位 フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢をみるか?』111
13位 フィリップ・K・ディック『ユービック』116
12位 ジーン・ウルフ『<新しい太陽の書>』117
11位 コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』124
10位 ダン・シモンズ『ハイペリオン』2部作 154

9位 ダン・シモンズ『ハイペリオン』155

8位 ダン・シモンズ『ハイペリオン』4部作 164

7位 グレッグ・イーガン『万物理論』186

6位 ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』192

5位 アルフレッド・ベスター『虎よ!虎よ!』194

4位 レイ・ブラッドベリ『火星年代記』218

3位 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』229

2位 アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』237

1位 スタニスワフ・レム『ソラリス』『ソラリスの陽のもとに』325
海外短編部門20位 ロジャー・ゼラズニイ『フロストとベータ』59
20位 ハーラン・エリスン『少年と犬』59
19位 ラリイ・ニーヴン『無常の月』60
18位 ロバート・A・ハインライン『地球の緑の丘』63
17位 コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』66
16位 グレッグ・イーガン『祈りの海』69
15位 テッド・チャン『理解』70
14位 テッド・チャン『地獄とは神の不在なり』74
13位 C・L・ムーア『シャンブロウ』82
12位 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『愛はさだめ、さだめは死』85
11位 アイザック・アシモフ『夜来る』97
10位 アーサー・C・クラーク『太陽系最後の日』122

9位 コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』126

8位 ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』134

7位 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『接続された女』139

6位 トム・ゴドウィン『冷たい方程式』183

5位 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』195

4位 ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』196

3位 エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』216

2位 テッド・チャン『あなたの人生の物語』238

1位 グレッグ・イーガン『しあわせの理由』259
98年時は海外長編部門の1位は『夏への扉』(というかこの企画でずっと1位だったんだけど、06年集計ではじめてランクダウン。個人的にはこれでも高すぎると思うけど)、短編部門の1位は『たったひとつの冴えたやりかた』でした。
作家部門では98年はアーサー・C・クラークが1位、06年はフィリップ・K・ディックが1位でした。
『ハイペリオン』が3つランクインしてますが、ただハイペリオンと言ったときは『ハイペリオン』上下。二部作は『ハイペリオン』と『ハイペリオンの没落』それぞれ上下。4部作は『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』『エンディミオン』『エンディミオンの覚醒』それぞれ上下です。
3つの得票ポイントを合算すると、『ソラリス』を上回ります。
短編部門にテッド・チャンの作品が3作ランクインしていますが、彼の単行本は2002年に出た『あなたの人生の物語』のみ。
そこに収録された8作からのランクインということで、寡作ながら秀逸な才能が光ります。
特に『あなたの人生の物語』はほんとうに傑作。
ガイナックスのアニメ『トップをねらえ!2』最終話のサブタイトルに引用されていましたね。
長編部門上位5作の顔ぶれは70年代から変化なし。
個人的にはレムの作品はもっと読まれてもいいな、と思っています。
特に短篇集『虚数』収録の『ゴーレム XIV』はイチオシです。

また、↓は「SF本の雑誌」で2009年に行われたオールタイム・ベストSFのランクインリスト
SFファン度調査 SF本の雑誌オールタイムベスト100版次回のSFマガジンオールタイム・ベストSFの投票はおそらく2014年の7月あたり。
それまでSFマガジンが存続するように皆さん買い支えましょう!
追記:ブコメで『酔歩する男』の誤記を指摘されたので訂正しました。指摘ありがとうございます。
- 関連記事
-
↓よければアクセス&モチベーションアップ&話題の拡散に繋がるクリックを↓

全記事一覧 TOPページ