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『遺言』(岡田斗司夫)

[ 2011/01/16 ]

岡田斗司夫のガイナックス時代の仕事の裏話と、物語、作品におけるテーマのあり方について語った本。
同名タイトルのトークイベントを文字に起こし、体裁を整えた上での出版。

岡田斗司夫のガイナックス時代の仕事について、岡田斗司夫以外の人の証言というのがあまりないので、彼の話をどこまで鵜呑みにしていいのか、ずっと疑問に思っていた。
庵野秀明とか赤井孝美とか山賀博之とか貞本義行とか樋口真嗣とか、ガイナックスが輩出したトップクリエイター達もその時代についていろいろとインタビューを受ける機会があるのだが、それらを見てもどうにもこうにも岡田斗司夫の関与をあまり話題にしない。
この本を読んでも、彼がガイナックスをやめた経緯についてはそこまで詳しくは語っていないので、それなりの確執はあったのだろうな、というくらいしか想像がつかない。

それはともかくとして、一読後、彼の若かりし頃の熱気がガンガン伝わってくる良書だなあ、という感想を持った。
『王立宇宙軍オネアミスの翼』や『トップをねらえ』、それから『ダイコンフィルム』や『ふしぎの海のナディア』がどのようにつくられていったか、という話が語られていて、それはとても興味深かった。
作品にとってテーマというものがどれだけ大事か、ということを主軸に、それらの作品のテーマを決定するのにいたるブレインストーミングの様子が面白い。
アニメ制作スタッフの青春だけれども、読んでいて『まんが道』のような印象を受けた。
80年代が舞台の『まんが道』。
この本だけ読んでいると、岡田斗司夫はかなりいい人で無茶苦茶クリエイティブで頭のいい奴だなあ、という印象だけど、そういうのを客観的に検証するには『マンガの中心で愛を叫ぶ』で裏『まんが道』を描くまでに30年近くかかったように、またかなりの時を待たなくてはならないのかもしれない。

この人のことを生理的に受け付けない人というのが世の中にはわりといて、なんだろうな、ということも考えながら読んだんだけど、多分、啓蒙家チックなところが鼻につく人は鼻につくんだろうな、と思った。
本人自身明言しているように、世の人々は自分の言う事を聞けば幸せになれる、と確信していて、そのノウハウは少なからず実績を残しているのだが、おせっかいに感じる人は感じるだろう。
でも、こういう頭のいい人のいろいろなノウハウをすんなり受け入れられると、まあ楽に生きられるよなあ、とも思う。
船井幸雄や苫米地英人ほどいかがわしくはないと思うのだが、さて、岡田斗司夫の信奉者というのはどれくらいいるのだろうか。
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