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『僕の「日本人の笑い」再発見 狂言でござる』(南原清隆)

[ 2010/06/23 ]

中学生時代から今にいたるまで、ダウンタウンよりウンナンが好きだ、というとあまり共感を得ることはできなかった。
そもそもテレビ自体、あまり見ていなかったのでウンナンが好きだと言っても、それほど入れ込んでいたわけではないのだが、それでも明確に好きだと言えるくらいには愛着を持っていた。
よく見ていたのは「夢で逢えたら」「特ホウ王国」初~中期の「笑う犬」「内村プロデュース」「リングの魂」くらいかな?
贔屓目に見てもつまらない番組もけっこうあったし。

今となっては明らかにウンナン、特に南原のテレビでの不遇は明らかで、ダウンタウンやとんねるずと比較するのもバカバカしいほどになっている。
私自身、南原より内村のほうが才能あるよなあ、と思っていて、南原は軽視していたのだけれど、しかし、時折見せる「冴え」のようなものはやはり並々ならぬものがあった。
社交ダンスを流行らせたり、はっぱ隊が海外で異様に盛り上がったり、スポーツバラエティというジャンルを定着させたのは彼の功績だろう。

テレビで見かけないなと思っていたら、最近は狂言を始めたらしい。
その狂言を見に行った人の感想をたまたまどっかのブログで読んだら面白い、ということが書いてあって、興味を持った。
加えて狂言の本まで出していた。
これまたアマゾンの書評ではかなり評価が高い。
固定ファンの組織票かとも思ったが、内容を読み込んだレビューだった。
で、買ってしまった。

内容は自身の立ち位置の確認から始まって「お笑い」「芸」というものの考察、狂言の成り立ちや現在の「お笑い」との共通点、そして「お笑い」の歴史にまで踏み込んだものだった。
特に、なぜ日本人の笑いには「ボケ」と「ツッコミ」が必要で、欧米のそれにはその役割がないのか、という下りは非常に興味深かった。
最近では役者をやったり、スポーツ番組やクイズ番組の司会をしたりと、純粋なお笑い芸人としての活躍から遠ざかった彼が、こんなにも真摯にお笑いについて考えているとは思わなかった。

ここ何年か、ずっとお笑い芸人ブームが続いているから、芸人が今日もどこかで生まれているのだろう。
職場や電車、ファーストフード、飲み屋なんかでお笑い芸人の話をしている声はよく聞こえてくるし、「お笑い評論家」なんてのが職業として成立している。
M-1が開催されれば、ネットでは本当によく素人のお笑い論を見る。
だが、「日本人論」、数百年に及ぶお笑いの歴史を視野に入れた上で語れる人間はいない。
お笑い評論自体に、社会評論や文芸評論、映画評論、マンガ評論etcほどの歴史がないため、この本の踏み込みにしたって、まだ物足りない部分は多々あるんだけど、それでも、どこでも聞いたことも読んだこともない知見があったのは収穫だった。

彼の狂言への試みが脚光を浴びることができるかどうかわらないけれども、この求道的な歩みはきちんと評価されて欲しいものだ
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