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『コードギアス 反逆のルルーシュ』『R2』(谷口悟朗)

[ 2008/11/07 ]



大枠としては魅力的な物語であり、贅沢なつくりで、非常に楽しませてもらうことができた。
演出や構成、設定、キャラクターなど、偏ったものではあるけれど、高度に洗練されていた。
この作品の、適度に高度で複雑な世界設定とメカ設定、少女マンガばりに異常に濃い人間関係、サービス精神豊富な演出、倫理観を超えていこうとする製作姿勢、主人公の性格設定と立ち位置の歪さ(『デスノート』の影響だろうけど)は素晴らしい。
『コードギアス』に限らず、『ガンダム』にしろ、『エヴァンゲリオン』にしろ、『マクロス』にしろ、『パトレイバー』にしろ、何故にロボットアニメには、これだけアイデアが蕩尽されるのだろうか。
おもちゃを売りやすい、という実も蓋もない理由が一番でかいのは間違いないんだけど、そういう商品展開の多様さを支えているのは設定の精緻さで、それを支えている核はじゃあ何か、というと兵器や闘争へのフェチズムだったりする。
実は日本人の根底には「戦争によって象徴される様々な意匠に対する渇仰」が広範に眠っているのだろうな、ということも考えられるなあ。


それはともかく以下、ネタバレ













主人公の死について。
まあ、おそらく見ていた人の大半が主人公ルルーシュは最後に死ぬのだろうな、と思っていたのだろうし、そういう意味では、想像の斜め上を行くようなどんでん返しの連続だったこの作品にしては至極まっとうな終わり方だったように思う。
物語のルーチンから、あるいは倫理観から外れない終わり方だった。
自らの思想、目的のために散々、無辜の人々を殺してきて、そのことに自覚的なキャラクターが死なずに、あるいは狂気に逃げずに終われた作品で人々の納得を得られた作品と言うのはそれほど多くないと思う。
「物語のルーチン」を考えなければ、最終回でルルーシュが死ぬ必要はない。
彼の最終的な目的が「人々の話し合いによる世界平和」であり、その手段が「暴君ルルーシュの支配とその死」であるならば、死んだことにする、という手だってありえたはずだし、そうでなくても、その圧倒的な力をうまく駆使して、名君になる道だってないこともなかった。
現実世界の倫理観と相容れないかもしれないけれど、だからといって、現実世界の政治が倫理観と相容れた形で進行しているのかといえばそういうことはなかったりする。
にもかかわらずこうした形で決着したということは、大衆的で陳腐な倫理観に迎合したからだろう。

倫理観をはみ出した作品と言うのはいくつかあるのだけれど、それらはわりと無自覚な踏み出しであり、現実社会の倫理観の推移と裏表だったりする。
夏目漱石の作品のどれだったか忘れてしまったが、平気で電車の窓からタバコの吸殻を捨てるシーンがあったけど、漱石の時代には電車でタバコを吸うことも、それを窓からポイ捨てすることも特に問題とはされなかった。
あるいは、『涼宮ハルヒの憂鬱』ではヒロインのハルヒが隣の部を脅迫してパソコンを強奪する、というシーンが罪悪感を匂わせることなく描写されていた。

この作品では自覚的に「悪」を行う主人公、ということでその倫理観の取り扱いに注目していたわけだが、わりとそこらへんの問題はごくごくまっとうな解決手段で、構造としては『ドラえもん』や『こち亀』なんかと変わらなくて、倫理観の内実を問うようなものではなかった。
まあ、そんなことに注目していた人間なんて私くらいのものかもしれないのだけれど、「物語の限界」ということを考えるきっかけはあたえてくれたので、個人的には興味深かった。
個人的な娯楽対象としてはその限界を突破してくれなければ、「至高体験だったなあ」という感想は出てこないけど、なんにせよ、限界付近を探ったと言うことで、やはり21世紀のアニメでは今の所一番、面白かったと思う。
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