『最果てのイマ』(ザウス) : 異常な日々の異常な雑記 QLOOKアクセス解析 アクセスランキング

ロックとオタクと思想と政経と社会について思いつきを垂れ流すブログ
お気に入りサイトの最新記事

スポンサーサイト

[ --/--/-- ]
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


↓よければアクセス&モチベーションアップ&話題の拡散に繋がるクリックを↓
ブログランキング・にほんブログ村へ このエントリーをはてなブックマークに追加follow us in feedly

全記事一覧    TOPページ

[ --/--/-- ] スポンサー広告 | TB(-) | CM(-)

『最果てのイマ』(ザウス)

[ 2007/09/08 ]

シナリオを書いた田中ロミオの代表作が『CROSS†CHANNEL』であることは、知っている人たちの間では衆目の一致するところであろうが、この作品の内容もあらゆる意味で規格外であり、その内容を把握できた人間にしてみれば、何物にも換えがたいカタルシスを感じることができたのではなかろうか。

表面上は穏やかな、しかし不吉な予感に彩られた世界を生きる7人の少年少女達の仲良し空間の変遷をたどる話に見せかけておきながら、ハードSFタッチに実存を探る作品になっている。

最初の仕掛け、というか舞台設定は冗長にすぎると思う。
万人受けを最初っから放棄したストーリー展開にまずは面食らった。
前後のシーンがつながらないまま、仲良し空間が様々な契機によって破壊されていくのだが、そこには確かに不吉な予感や暖かさ、ノスタルジア、それなりな危機的状況があるものの、山場を配することに無頓着で、多くのものにとっては苦痛なまま話が展開していく。
『CROSS†CHANNEL』では序盤から緻密な構成力と素晴らしい切れ味の下ネタが光っていただけに、残念でならなかった。
ただ、テキストを盛り上げるCGとクラシックを多用した音楽による静謐な演出は抜群の効果があった。
この丁寧な雰囲気作りが前半の展開を救っている。

全体の四分の三ほど経過したところで、「戦争編」というシナリオがスタートするのだが、そこからの加速は圧倒的なものがあった。
化学、哲学、心理学、倫理学、脳生理学、分子生物学、文化人類学、情報工学といった分野から自在に参照、引用されることによって紡がれる物語の過剰な意味性に翻弄される。
『CROSS†CHANNEL』でもそうだったが、この作品でも全体としては「人が個人であることの意味」を執拗に描いている。
現在の解釈で言えばたしかに「セカイ系」作品のひとつなのだろうけれど、その「個人であることの意味」追求における知的緊密性の高度さは他の追随を許さないものがあり、大江健三郎『万延元年のフットボール』のような徹底さえ感じる。
近代的自我の価値という奴だ。

今までに体験してきた物語による至高体験の様々な片鱗がここでは見られた。
『エヴァンゲリオン』、『イリヤの空 UFOの夏』、『わたしは真悟』、『火の鳥』、『CROSS†CHANNEL』、『FOREST』、『果しなき流れの果に』、『すぺるむ・さぴえんすの冒険』、『宇宙消失』、『ニューロマンサー』、『ペスト』、『ファウスト』などなどの作品群で私がもっとも感銘を受けたシーンが次々とフラッシュバックしてくる。
これらの作品群で提示されたテーマに様々な角度からアプローチしていて、それが知的エンターテインメントとして成立している。

多分、この作品に触れる人は10万人もいないだろうし、アカデミックな場所やポピュラーな場所で触れられることもほとんどないのだろう、という事実が残念でならない。
また、プレイした人たちのレビューを読んでも、複雑な構成のシナリオを考察したものは参考になったが、アナロジーで語れる人は少なく、作品の意味性について論証した人はいなかった。
想像力よりも理解力を試される作品であり、媒体の事情もあって、非常に間口が狭いのだけれど、この知性の格闘の記録は忘れられてはならないと思う。


最果てのイマ PORTABLE (通常版)
サイバーフロント (2012-07-26)
売り上げランキング: 16,369

関連記事


↓よければアクセス&モチベーションアップ&話題の拡散に繋がるクリックを↓
ブログランキング・にほんブログ村へ このエントリーをはてなブックマークに追加follow us in feedly

全記事一覧    TOPページ

[ 2007/09/08 ] ゲーム | TB(0) | CM(-)
忍者AdMax

トラックバック:
告知

他アカウント等
・昔書いた小説
・Twitterアカウント
・はてなブックマーク

相互RSS募集中
何かあればこちらまで sencha.freak69■gmail.com
煎茶

ブログのコメント欄は閉鎖しました。コメントははてなブックマークかツイッター、もしくはメールで直接管理人までお願いします。

忍者AdMax


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。