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小室直樹・日下公人「大東亜戦争、こうすれば勝てた」

[ 2006/12/31 ]
表題ズバリのテーマを、政治学者小室と経済学者日下が語る対談本。

ミッドウェー海戦、ノモンハン作戦、支那事変、ガダルカナル玉砕などの戦術レベルから戦略、政治レベルまで、どの瞬間にどのような判断を下していれば、日本はあの戦争に勝てたか、ということを論じている。

戦術レベルでの大ポカは技術論に終始しているので、はっきり言って軍オタでない私にはついていけないところもあったが、戦略レベル、あるいは政治レベルの話には大いにうなずくところがあった。

まったく、日本は歴史から何も学んでいないということが骨身にしみる。
日本の官僚機構の運用の硬直具合と外交センスのなさはあの頃と何も変わっていない。

政府が軍部(官僚)を統御できたなかったこと、上層部に戦争目的をきちんと把握している人間がいなかったこと。
この二つが大きな敗因だが、一人一人、あるいは共同体ごとの能力は優れているのに、中長期的な視野を持っている人間が誰もいなかった。
なんという無駄な戦争をしているのだろう。

それは今、無際限に中国に進出している日本企業にだって言えることで、成果の目標を設定せずに収益の極大化をひたすら突き進んでいるだけでは遠くない未来に必ず破綻が来るだろう。


戦争とは巨大な営為であり、そのことを研究するのは非常に意義があることなのだが、今の日本では何故「起こしてしまったのか」、ということばかり論じられて、何故「負けてしまったのか」、ということはあまり論じられない。
敗戦国がすべきことは、「起こしてしまったこと」の反省より、「負けてしまったこと」の反省であるはずなのだが。

アメリカもイギリスも中国もソ連も、ドイツに劣らぬ、ましてや日本など比べようもない虐殺を働いているが、そのことを反省なんかしちゃいない。

もちろん、本来は戦勝国であろうと敗戦国であろうと、「起こしてしまったこと」を反省しなくてはならない。
だが、それだけでは足りない。
戦争が政治の一手段であり続ける限り、ありとあらゆる方向から戦争を考えなくてはならない。
歴史として、道具として、災厄として、娯楽として、ファッションとして。

戦争が政治の一手段でなくなるように考えることも重要だけれど、それと平行して、とかく災厄としてのみ語られることの多い近過去の戦争をそのような形で考えることには大きな意味があるだろう。

「地獄への道は善意で敷き詰められている」(マルクス)
「天国への近道は地獄への道を熟知すること」(マキャべリ)
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